「うつ病は心の風邪」なぜ、そんな言葉が生まれたのか

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あなたは、うつ病を「心の風邪」と表現されることに違和感を感じたことはありませんか?

当事者の方なら「風邪なんかより、もっとずっとつらいのに」と思ったことがあるかもしれません。周りの人でも「風邪みたいに簡単に治るものなの?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。

実は、この表現が生まれた背景には、決して軽視するためではない、ある重要な目的がありました。

“心の風邪”とは誰が言い出したのか?

この言葉が広まったのは2000年頃のことです。当時、抗うつ薬パキシル(パロキセチン)が日本で使用開始となり、製薬会社のマーケティング活動の中で**「心の風邪」**というフレーズが使われ始めました。

その目的は:

  • うつ病を「誰でもかかりうる病気」として認識してもらうこと
  • 「治療可能な病気」だと理解してもらうこと
  • 市場拡大を図ること

なぜこの表現が社会に受け入れられたのか?

1990年代末から2000年代初頭、うつ病はまだ「甘え」や「怠け」と見なされることが多く、医療機関を受診することに大きな心理的ハードルがありました。

そのため、製薬会社の意図は決して悪意あるものではなく:

  • 偏見をなくすため - うつ病への社会的な偏見を減らしたい
  • 治療へのアクセス改善 - より多くの人が治療を受けられるようにしたい
  • 早期発見・早期治療の促進 - 重症化する前に治療につなげたい

どのような誤解が広まったのか?

良い意図で作られた表現でしたが、実際に社会に浸透する過程で、以下のような誤った理解が広まってしまいました:

  • 「うつ病は甘え」
  • 「放っておいても治る病気」
  • 「誰もがすぐに治せるもの」

これらの誤解により、うつ病当事者の方々がさらに苦しい思いをすることになってしまいました。医療従事者の多くも、この表現に批判的な意見を持っているのが現状です。

今、うつ病はどう治療されているのか?

現在のうつ病治療は「風邪」のような単純なものではありません:

  • 薬物治療(SSRI等の抗うつ薬)
  • 心理療法(CBT:認知行動療法など)
  • マインドフルネスを活用した治療法
  • セルフケアの組み合わせ

これらを一人ひとりの状況に合わせて組み合わせる、個別化された治療が主流となっています。

あなたの違和感は正しかった

あなたが「心の風邪」という表現に感じた違和感は、決して間違いではありません。この表現の背景を知ることで、うつ病への理解がより深まり、適切なサポートにつながることを願います。

私もかつて、「うつ病は心の風邪」と言われてかなり精神的に病んでいたことがあります。
それは、当時の恋人がうつ病で苦しんでいたことで支えになれなかった部分があったからです。
このフレーズは、心の風邪なら、私が変わってあげたいぐらいに追いつめられていました。

当時の記事でも「うつってうつせば治るの?」という記事を書いたことがあります。
それは精神的に参っていて、私自身躁状態になって、冷静さが欠けていた文章だっため、文章は残していますが、誤解を招く表現になると思うため、現在は非公開にしています。

ただ、「心の風邪」という言葉が誤解を招く表現ではあったにせよ、その意図は、早期発見早期治療の意図があったということがあるため、言葉は使いようによってナイフにも薬にもなるということです。

ナオ

著者: ナオ

統合失調感情障害/角化症/元デザイナー/元フロントエンドエンジニア 「完璧な人間なんていない」が私の信条です。 限界はあるけれど、可能性はあると信じて生きています。

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